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ロンドンでPOP-UPショップを出す — 物件、契約、費用

POP-UPは、常設店を持たずにブランドを物理的に存在させられる唯一の方法です。ロンドンは短期賃貸の市場が成熟しており、1週間から数か月まで、規模と予算に応じた選択肢があります。ただし日本と契約の考え方が違う部分があり、そこを知らないと想定外の費用と時間がかかります。

エリアの選び方

ロンドンでPOP-UPを出す場合、エリアによって来る人がまったく違います。目的から選んでください。

  • ソーホー、コヴェント・ガーデン — 通行量が最大。認知目的なら最有力。賃料も最高
  • ショーディッチ、ハックニー — クリエイティブ層と若年層。話題化しやすく、賃料は中位
  • メリルボーン、ノッティングヒル — 購買力の高い層。落ち着いた高価格帯の商品に適合
  • メイフェア — ラグジュアリー。賃料は最も高いが、価格帯が合えば効く
  • 各種マーケット(Old Spitalfields ほか) — 最も安く、最も短期で試せる。まずここから、という選択肢

初回であればマーケットの区画から始めることを強くおすすめします。数日から出せて費用が桁違いに小さく、それでいて「ロンドンで実際に売った」という事実と写真が残ります。

契約と物件

短期賃貸は専門のエージェント(Appear Here 等のプラットフォームを含む)を通すのが一般的です。空き店舗を直接交渉することも可能ですが、時間がかかります。

日本と違う点として、英国の短期賃貸契約には「ライセンス契約」と「リース契約」があり、前者は使用許諾に近く原状回復の範囲や中途解約の条件が異なります。契約書の該当箇所は必ず確認が必要です。

また多くの物件で賠償責任保険(Public Liability Insurance)の加入が契約条件になります。これは日本ではあまり意識されない項目で、当日になって「保険証書がないと入れない」となる事例が実際にあります。

費用の内訳

項目備考
賃料週単位が一般的。エリアと面積で大きく変動
保証金賃料の1〜2週間分程度
ビジネスレート(事業用固定資産税)期間が短い場合は賃料に含まれることが多い。要確認
内装・什器什器レンタルという選択肢もあり、買うより安く済むことが多い
賠償責任保険契約条件になっていることが多い
決済端末カード・タッチ決済は必須。現金のみは選択肢から外れる
販売スタッフ英国の最低賃金は法定。時給に加え雇用形態の確認が必要
在庫の輸送と通関販売するなら正式輸入。関税とVATが発生

日本と違う三つの点

一.在庫は「正式輸入」になります。 展示のみで持ち帰る場合はATAカルネという一時輸入の仕組みが使えますが、販売する以上は正式輸入です。関税とVATが発生し、輸入者としての手続きも必要です。ここを曖昧にしたまま送ると税関で止まります。

二.VAT(付加価値税)の扱い。 販売する場合、売上規模によってはVAT登録が必要になることがあります。短期のPOP-UPでどう扱うかは事前に整理しておく必要があります。

三.「開いているか分からない」問題。 英国の店舗は外から中が見えることが重視されます。日本的な、外から見えない落ち着いた設えは、ロンドンでは入ってよいか分からない店として通り過ぎられます。ウィンドウの作り方と価格表示の有無が、通行量に対する入店率を大きく左右します。

興味深いことに、これは訪日した外国人が日本の店舗で感じることの、ちょうど裏返しです。インバウンド対策の優先順位(Japan The Best)で同じ論点を逆方向から扱っていますが、「入ってよいと分かること」が最優先という結論は、どちらの方向でも変わりませんでした。

期間の考え方

短すぎると認知される前に終わり、長すぎると賃料が回収できません。実務上、認知目的なら1〜2週間、販売目的なら4〜8週間が一つの目安です。SNSでの告知は開店の2週間前から始め、初日にイベント性を作るのが定石です。

物件探しから撤収まで

エリア選定と物件交渉、短期賃貸契約と許認可、内装・什器の設計施工、販売スタッフの手配、会期中の運営とデータ集計、撤収まで対応します。マーケット区画からの小さな試行のご相談も歓迎します。

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よくある質問

この分野で実際によくいただく質問です。

ロンドンでPOP-UPを出す費用はどのくらいですか?

エリアと期間で大きく変わります。マーケットの区画であれば数日単位で非常に安く出せますが、ソーホーやメイフェアの路面店では桁が変わります。賃料のほか、保証金、内装と什器、賠償責任保険、決済端末、販売スタッフ、在庫の輸送と通関が発生します。初回であればマーケット区画から試すことをおすすめします。

ロンドンのどのエリアがよいですか?

目的によります。認知が目的ならソーホーやコヴェント・ガーデン、話題性ならショーディッチ、購買力の高い層ならメリルボーンやノッティングヒル、ラグジュアリーならメイフェアです。初回で予算を抑えたい場合は Old Spitalfields などのマーケット区画が最も現実的です。

POP-UPで販売する在庫はどう送ればよいですか?

販売する以上は正式輸入になり、関税とVATが発生します。展示のみで持ち帰る場合に使えるATAカルネという一時輸入の仕組みは、販売には使えません。輸入者としての手続きも必要になるため、企画段階で確定させないと税関で止まります。

英国の店舗契約で注意すべき点はありますか?

短期賃貸には「ライセンス契約」と「リース契約」があり、原状回復の範囲や中途解約の条件が異なります。また多くの物件で賠償責任保険(Public Liability Insurance)の加入が契約条件になっており、証書がないと入館できない事例が実際にあります。

日本と同じ内装で通用しますか?

通用しないことがあります。英国では外から中が見えることが重視され、日本的な外から見えない落ち着いた設えは「入ってよいか分からない店」として通り過ぎられます。ウィンドウの作り方と、価格帯が外から読み取れるかどうかが、通行量に対する入店率を大きく左右します。